バター不足が教えてくれる沢山のこと
皆さん、こんにちは。
店主です。
毎日毎日、あっと言う間に1日が過ぎてしまい、
なかなかブログ更新ができませんでした。
今回のブログが初めての記載になります。
読んで頂ければ幸いです。
まるこやが作っているお菓子にはバターがたっぷり使われています。
今回のブログはそんなバターについて。
皆さんはバターが牛乳からできている事はご存知だと思いますが、
そのバターを製造するため、約20倍の牛乳が必要だという事はご存知ですか?
僕たちお菓子屋さんは1本450gの業務用バターを使用していますが、
それを作る為に牛乳は、
450g × 20 = 9000g = 9kg
が必要となります。
膨大な量ですよね。。。
おいしい牛乳を出してくれる牛さん、毎日大変な作業を頑張っている酪農家の皆さん、
そしておいしいバターへ加工してくれるメーカーの皆さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
同時に、バターやその他食材に関わらず、たくさんの資源を使って生活している僕たちは、
それら資源が膨大なエネルギーによって作り出されている事に改めて気付かされます。
そんな有難いバターですが、昨今度々品不足に陥っており、食品業界全般に大きな影響が出ています。
そして今年も品不足になる事がほぼ確実視されています。
よく聞く品不足の理由ですが、
・『酪農家の高齢化が進み、廃業してしまうケースがある』
・『配合飼料代等が値上がりし、酪農家の経営を圧迫。廃業してしまうケースがある』
・『過去、牛乳が供給過多だった際、政府方針により牛さんの飼育数を減らし供給過多を解消させたが、
その後の猛暑、震災等の影響で牛乳が不足してしまい、今度は供給不足を解消しなくてはならなくなった。
しかし、過去、牛さんの飼育数を減らした関係で中々牛乳の供給不足を解消できなく、今日に至っている。
(牛さんを増やそうにも乳が出る歳まで育てていくには、時間・労力・経営計画の変更が伴い、難しい)』
・『品不足を過度に心配する食品関係先がバターの買い占めに入ってしまう』
等など、様々です。
関係者の皆さんは、それぞれ現場の声を教えてくれるので、
お菓子を作る僕としては、毎度背筋が伸びる思いで話を聞かせて頂いています。
また同時に、もっと自分でも責任を持って調べなければと思い、以下判る範囲で調べてみました。
参考にさせて頂いたのは、農水省と一般社団法人JミルクのHP上にUPされている乳牛に関するデータです。
アドレスは以下の通り。
http://www.maff.go.jp/
http://www.j-milk.jp/
以下、内容を端折って記載します。
①生乳年間製造量 年々減少傾向
②バター年間製造量 年々減少傾向
③バター在庫数(各年度末) 年々減少傾向
④乳用牛飼養戸数 年々減少傾向(ここ3年間、毎年600~900戸が廃業)
⑤飼養頭数 年々減少傾向(ここ3年間、毎年20,000頭前後が減少)
⑥1戸当たりの乳牛飼育数 年々増加傾向
⑦経産牛頭数(お母さん牛の数) 毎年ほぼ横ばい
⑧1頭当たりの生乳生産量 年々増加傾向
⑨配合飼料価格 平成21年4月⇒平成26年4月比で約2割増
⑩生乳100kgに対する生産費用 平成21年4月⇒平成26年4月比で約1割増
上記のような感じでした。
牛乳の生産現場はどのカテゴリもネガティブ傾向にあり、本当に厳しい状況が伺えます。
たとえ⑧1頭当たりの生産量が増加しても、④酪農家数、⑤牛さんの数の減少幅の方が大きく、
①~③の牛乳・バターの各減少傾向に繋がっているのでしょう。
また、⑧は牛さんに大きな負担がかかっている事も意味していると思います。
バターの在庫量はここ数年で最悪であった平成23年度末在庫数より現在の方が下回っている事から、
『今後、バター不足が確実になる』と考えるのは自然な事だと言えます。
ちなみに、平成23年のクリスマス時期は、バターが小売・卸から無くなる異常状態でした。
↑↑↑皆さん、憶えていますか?↑↑↑
政府は現在、すでに7,000トン程のバターの輸入実施を決定しましたが、
バター不足を危惧する沢山の企業が過度の買い占めに入ると、全てに行き渡るかどうかは不透明です。
もちろん、国も酪農家も、牛乳増産に向けて一生懸命に動いており、
平成24,25,26年度は牛乳増産型の中期計画の最中にあります。
でも、中々増産の成果が見えない所に、一段と現場の苦悩が伝わってきます。
消費者の僕たちは、早く牛乳を増産して欲しいと強く思うところですが、
・牛さんは生き物であるため、簡単に牛さんの数を増減する事は、当然できない。
・牛さんは生き物であるため、僕たちが引き起こす環境破壊による温暖化・猛暑の中では良い乳は出ない。
・日本は少子高齢化である為、酪農の担い手がおらず、廃業が進んでいく。
・飼料や原油等の資源・エネルギーを輸入に頼っているため、酪農の経営安定が難しい。
等など、牛さんや酪農家が克服しなければならない壁は非常に高いという認識・理解を
僕たちは忘れてはいけません。
でも、でもでも、おいしい牛乳、バター、練乳、粉乳等を今後も食べていきたい。。。
消費者・生産者・環境の3者が上手に付き合う為に、わがままな僕たちが出来る事・・・。
それは食べ物、資源を大切にし、『捨てる』という事を極力無くす事だと思います。
消費者の意識が向上すれば、生産者・環境に良い影響を与え、
生産者の意識が向上すれば、消費者・環境に良い影響を与え、
環境が向上すれば、消費者・生産者はその恩恵を受けられる。
上記が出来れば『み~んな、 Win Win の関係になるね!!!』
って、そんな事は言われなくても、書かれなくても、皆最初から判ってる。。。
でも、日々実行していくのはとても難しい事。
僕たちの意識が少しずつ少しずつ変わっていき、
やがてバター不足や全てのネガティブ要因の根本的解決策になるよう願いながら、
日々お菓子を作っている店主なのでした。
以上、読んで頂いて有難う御座いました。
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